「A子さんの恋人 7巻」感想 ネタバレあり




まだ発売して間もないので、ブログで書きます。

・すごい。近年稀にみる良いラストかもしれない。
映像化するのかな、するならいい監督がいいな。
ドラマのように時間を空けて進むのが向いているかもしれない。

・私はクマのぬいぐるみがしゃべる描写が少し苦手だったのだけど
(人の心理描写を代弁するだけならまだしも、展開を進めたりするので)
クマがクマのぬいぐるみになった瞬間が、やたら切なかった。
もう夢は終わりなのだと言われているようで。

・A子さんも、A太郎も、特に夢の中にいたわけではないけど、
これからA子の現実が始まるんだろう。

・A子さんの恋人は途中から、少しミステリじみた展開になる。
「ネームはどう終わらせるのが正解なのか」という謎だ。

人を好きになる時、その人を見ているか、自分を見ているか、
というのはわりとよくある話で、救う場面はそこまで意外ではなかった。

しかし、その謎が解けた後の2人がとてもよかった。
ミステリでは謎が解けた後、謎が解けた時の快感でしらけてしまうものも多い。

でも、謎が解けても、登場人物たちの生活は続いていく。
その描写がA子さんの恋人は良かった。

実は、「別れた恋人を空港まで送る」というベタな展開なのだが、
それがまた良かった。
U子の恋人が空港までの道のりを言うのもよかった

・最後のキスもすごくよかった。
お葬式の時のキスも良かったけど、あれと同じ唐突さでも
A子はまったく違う反応をする。

・キスや、航空券のお金を払う描写が好きだ。
キスもお金も、とても俗なものとされている。
でも、今回は「約束」だったり「言葉」として使われていて、美しい。

・最後、みんなの漢字があらわになる。
まるで、魔法か呪いが解けたかのようだ。
キャラクターがずどんと降りてくる。地に足が着く。

「K子」や「U子」は今まで物語のキャラクターだった。
それはブレずに「A子」の話を引っ張る存在だった。

しかし「U子」は「自分がかわいそうではなかった」と話したり、
2人してA太郎に情を示したり、「現実味の人々」になったように思う。

「A子」も名前を取り戻し、インターホンが押せる人間になる。

・そういえば、この巻ではA子が流されるだけでなく、
自ら動いている感じがあった。
それはやはり、名前を、自分を取り戻したからかもしれない。

この「A子」「K子」といった描写は「作中作の中の人々」という演出かもしれないし、
「自分」を取り戻す話のなのかもしれない。

・ラストは部屋の中の少年よろしく、視界がクリアになってしまう。
すべてがスッキリしてしまった。

A子とA太郎はもう二度と会うことはない。
A子は穏やかにA君と暮らしていくだろう。

すべてが正しく、取りこぼしなく、清算されてしまった。
清々しく、とても寂しい。










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